「これって性暴力…?」性暴力/性犯罪について具体的に解説!【相談先の情報付き】
「これって性暴力だったのかな?」
多くの人が一度は考えることがある疑問。
「性暴力」という言葉は聞き慣れているけれど、具体的に何を指すのか、どこまでがその範囲なのかは明確に分からない、という方も少なくありません。
この記事では、性暴力とは何か、そしてなぜその理解が重要なのかを、やさしくお伝えしていきます。
はじめに、性暴力についての疑問を解決へ
性暴力とは何か?
性暴力とは、同意のない性的な行為を指します。
これは、言葉の暴力から身体的な接触までさまざまです。
性暴力にはいくつかの具体的な名称があり、強制わいせつ、セクシャルハラスメント、ストーカーなど、多くの方が聞いたことがあるでしょう。
しかし、実際にはその中身や範囲が明確に理解されているわけではなく、被害者が認識できていないケースが数多く存在しています。
性暴力の理解が大切な理由
性暴力は、私たちの身近なところに潜む問題です。
しかし、多くの被害者は「大したことではない」と自らを納得させ、被害の深刻さを隠してしまうことがあります。
声を上げずに一人で悩むことで、その心の重荷はどんどん重くなってしまうことも。
正しい情報を知ることで、自らの状態と気持ちを整理することができ、一歩を踏み出す勇気になります。
そして、私たち一人ひとりが真剣に性暴力の問題に向き合い、理解を深めることで、意識しない間に多くの人が傷ついている現実を目の当たりにします。
被害者の痛みを尊重し、共に理解を深めていけることで、被害者が孤立せず、誰かに助けを求められ、回復の一歩を踏み出すことができるのです。
そのために、私たち一人ひとりが知識を得て、理解を深め、そしてそれを広げていくことが大切なのです。
性暴力とは?あなたの経験を振り返ろう。
性暴力とは、具体的に何を指すのでしょうか?
いくつかの視点からお話ししていきます。
性暴力とは、法律では「性犯罪」として取り扱われます。日本の法律では、望んでいない性的な行為や接触、痴漢や盗撮などが性犯罪として認識されます。
しかし、法律で取り締まられるものだけが性暴力ではありません。
性犯罪は性暴力のごく一部であり、言葉を含めた同意のない性的な行為は全て性暴力の範囲に入ります。
性暴力の種類を紹介
性暴力には様々な種類があり、具体的な種類と内容を記載しています。
あなたの経験が含まれていないか、チェックしてみてください。
- 不同意性交為:薬や飲酒、立場などを利用して「同意ができない、表明が難しい」状況下で性的な行為等を強いること。
- 不同意わいせつ:同じく被害者の同意がない、表明が難しい中で、体を触る、性器や体を触る、脱がせる行為。
- 公然わいせつ:不特定多数の人が認識できる場所で裸になったり、性器を見せたりする行為。
- セクシャルハラスメント:不適切な言葉やジェスチャー、仕事場などでの性的な不快なジョークやコメント。
- デジタル上の性暴力(撮影罪):ネット上でのストーキングや、裸や性行為の無許可の写真撮影や拡散、販売など。
- ストーカー行為:継続的に追尾、監視、連絡を取るなどして相手に恐怖を感じさせる行為。
- 児童ポルノ:18歳未満の者が性的な行為やポーズをとる写真や動画の撮影、保持、流通など。
- 児童の性的搾取:金銭や物品との引き換えに、児童と性的な行為をすること。
以上の事例は性暴力の一部に過ぎません。
もし、あなたが何らかの不快な経験や感じることがあった場合、それは性暴力として認識することが大切です。
性暴力の具体的な事例を紹介
性暴力は一見被害と気づかないような状況が多々あります。
一緒に、実際のケースを見ながら、あなたの経験を振り返ってみてください。
事例1:飲み会の後、同僚のAさんが急に抱きついてきた
飲み会の席が進み、皆さんが楽しそうに話している中、同僚のAさんが急にあなたに抱きついてきました。Aさんは「冗談だよ」と笑いながら去っていったけど、あなたはその行為に驚きと不快感を覚えました。
解説:Aさんの行為は、あなたの意向を無視したもの。冗談であっても、許可なく身体に触れられることは性暴力の範疇に入ります
事例2:友人のBさんから、突然不適切な写真を送られてきた
友人のBさんが、何の前触れもなく不適切な写真を送ってきました。Bさんは「面白かったから」という理由だけ。しかし、あなたはその写真を見て不快に感じました。
解説:Bさんの行為は、あなたの不愉快と感じる境界線を越えるもの。不適切な内容を送る行為は、デジタル上の性暴力として認識されています。
事例3:幼少期の家族による性的な接触
幼い頃から母親の彼氏に性的な接触を受けていました。当時はその行為を「普通のこと」と思い込まされていました。しかし、友人との会話や学校の授業を通じて、その行為が通常の家庭での触れ合いとは違うことを認識し始めました。
解説: 家族や親のパートナーから性的な行為を受けることは、性的虐待に当たります。家族内での被害は、被害者が信頼するはずの人物からのものであるため、その後の心的トラウマも深刻です。
性暴力は立場を利用したり、大袈裟だと否定したり、幼少期の無茶な状態を利用したりと、被害を認識しにくい状況がとても多いです。
また「強く拒否ができなかった私が悪いんだ」と自責感情を持ってしまう被害者もいます。
自分の気持ちや感じる不快感は大切なサイン。
ちょっとした疑問や違和感を大切にし、自分を守っていきましょう。
性暴力を経験した後の、感情と向き合う方法
性暴力を経験すると、その後にさまざまな感情や葛藤を抱えることが多くあります。
トラウマ、怒り、恐怖、そして罪悪感。
これらの感情は、過去の出来事に対する心の反応であり、自己防衛の一環としても現れます。
これらの感情は時に「私のせいでは?」という自己否定の思考へと繋がり、さらに大きな心の傷となってしまうことも。
恐怖やその他の感情や反応は、トラウマ後に多くの人が経験する「正常」なものです。
異常なのは、あなたに対して行われた加害行為です。
そして、その感情や反応は、自分を守ろうとする心の自然な動きなのです。
感情に向き合うための第一歩は、それを受け入れること。
自分の心に優しく、そして温かく耳を傾けてみてください。
感情は、抑えつけたり否定するものではありません。
むしろ、向き合い、受け入れることが回復の道です。
深呼吸をしたり、自分の感情や心の声に少しずつ耳を傾ける時間を持つことで、心の中の荷物を少しでも軽くするステップを踏むことができます。
性暴力に遭遇した後にできること
被害から間もない場合
あなたは今安全な場所にいますか?まずは自分の安全を第一に考えてください。
加害者に位置情報を知られている、家に帰られないなど、不安を抱えている場合は性犯罪の相談窓口に連絡してください。
・警察の性犯罪被害相談電話「#8103(ハートさん)」
・性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター「#8891(はやくワンストップ)」
また強制性行の被害を受けた場合、警察に相談すると緊急避妊用ピルの提供等の支援がありますので、速やかに相談してください。
また可能であれば、加害者のDNAなどの重要な証拠が検出される可能性あるので、シャワーには浴びず、被害当時の衣服をきた状態か袋に保管をした状態がおすすめです。
被害からしばらく経過した場合
被害から時間が経っても心の傷が消えていなかったり、時間が経ってようやく被害を認識できる場合もあります。
「時間が経ったから」と自分を責める必要はありません。
もし過去の被害についての相談を検討しているなら、迷わず支援団体やカウンセラーに連絡してください。
被害が古いものであろうと新しいものであろうと、専門家はあなたの声を真摯に受け止めます。
過去のトラウマは一人で抱えると重く感じることが多いですが、外部のサポートを受けることで、回復の手助けになることがあります。
あなたの心のために、一歩を踏み出してみてください。
・性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター「#8891(はやくワンストップ)」
・性暴力に関するSNS相談「Cure time(キュアタイム)」
相談はこちらから
カウンセラーに相談をしたい場合
性暴力を受けた後の「トラウマ」や「心の傷」は、長く残り続けることがあります。
そのような深い痛みや苦しみを抱えている方には、カウンセラーへの相談を強くおすすめします。
専門家として訓練を受けたカウンセラーは、あなたの話を真摯に受け止め、一緒に解決の方法を探してくれます。
カウンセラーの探し方については下記の記事も合わせてお読みください。
終わりに、あなたのペースで前を向くために
私たちの社会には、残念ながら性暴力に関する誤解やステレオタイプが未だに根付いています。
被害者が「自業自得」とされる場面や、「あの服装だったから」という考え方は、被害者の感情をさらに傷つけるものです。
大切な事実として、被害者の格好などに関係なく、性暴力を正当化する理由は存在しないということです。
誤解を避けるためには、正しい知識を持ち、情報を共有し合うことが大切です。
そして、何よりも大切なのは、あなたが一人で苦しむ必要はないということ。
自分一人で解決しようとすると、時には負担が大きくなりすぎてしまうことも。
心の重荷を持っている時、手を差し伸べてくれる専門家や支援団体が存在します。
彼ら/彼女らはあなたの声を大切に聞いてくれます。
支援を受け取ることには、何の恥ずかしさもありません。
それどころか、勇気をもってその一歩を踏み出すことは、あなたの未来の自分への大切なギフトになるでしょう。
どんな小さな疑問や悩みも、信頼できる誰かに共有することで、答えを見つける助けとなります。
最後に、あなた自身のペースで前を向くことが大切です。
焦らず、自分を責めず、一歩ずつ、安全で暖かい未来へと進んでください。
私たち全員が、あなたの味方です。