お知らせ

東京都高等学校性教育研究会 令和8年度 夏季研究協議会に登壇しました

鈴木彩衣音

2026年8月18日(月)、国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催された「東京都高等学校性教育研究会 令和8年度 夏季研究協議会」に、NPO法人SISTERS代表理事・鈴木彩衣音が講師として登壇しました。

登壇概要
  • 日時:令和8年8月18日(月)14:25〜15:35(70分)
  • 会場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟 415研修室
  • 主催:東京都高等学校性教育研究会
  • 対象:東京都内の高等学校において性教育を担当する教員
  • テーマ:こども性暴力防止法の施行と中学から高等学校の「接続」で必要な取組

講演の背景

令和8年12月25日に「こども性暴力防止法(日本版DBS)」が施行されます。本研究協議会では、施行を前に高校教員が知っておくべき法律の概要と、中学から高校への接続を見据えた取組のあり方を共に考えることを目的として、SISTERSに声をかけていただきました。

講演①では、新宿区立牛込第一中学校・石井友保副校長(都中学校性教育研究会副会長)より「中学校の性に関する教育の現状」についてご報告いただき、続いて鈴木が70分の講演を担当しました。

講演内容(全4章・70分)

第1章|なぜ今、この法律が必要か(約20分)

第1章スライド:若者の4人に1人が性暴力被害を経験

「自分の学校は大丈夫」という思い込みを一度手放すところから始めました。性犯罪・性暴力等を理由に懲戒処分等を受けた公立学校の教職員は近年毎年200人を超え、令和5年度は過去最多の320件を記録。さらに若者の4人に1人が性暴力の被害を経験しており、最も深刻な被害を受けた年齢は高校生(16〜18歳)が32.8%と最多です。

性暴力はこどもの心身に深刻な影響を与えます。PTSD発症率は女性46%・男性65%(戦闘体験と並ぶ水準)にのぼり、学習困難・登校拒否・自傷行為のリスクも高まります。被害を受けても47.3%が誰にも相談できていないことも共有し、「相談してこないから起きていない」という認識の危うさを伝えました。

また、教育現場には「支配性・継続性・閉鎖性」という3つの特性があり、性暴力が起きやすく発覚しにくい構造になっていることを解説。こども性暴力防止法が学校に課す3つの義務(①安全確保措置、②犯罪事実確認、③防止措置)についても具体的に説明しました。

第2章|性暴力・不適切な行為を正しく知る(約20分)

第2章スライド:不適切な行為の分類

法律が定める「児童対象性暴力等」の範囲は身体的接触にとどまらず、言動・画像・SNSを通じた行為まで幅広く含みます。「こどもが同意しているように見えても」性暴力に該当しうることを強調しました。

また、性暴力に至らないが問題のある「不適切な行為」(グレーゾーン)についても、こども家庭庁ガイドラインをもとに具体的な行為の分類を紹介。「業務上、本当に必要か?」「他の大人が見ても問題ないか?」という2つの判断基準を示しました。

さらに、SISTERSが学校授業で使用している「境界線(バウンダリー)」の考え方を取り上げ、体だけでなく持ち物・考え方・時間・空間にも境界線があること、それは自分で決めてよいものであることを紹介。加害者がこどもを被害者にするために信頼関係を築いてから近づく「グルーミング」の構造と、被害認識に平均7.5年かかるという実態も伝えました。

第3章|ケーススタディ——どこで止められたか(約20分)

複数の実際の事案をもとに構成した架空のケースを使い、グループで議論しながら進めました。高校2年生Aさんと部活動顧問B教諭の関係が4月から冬にかけて変化していく4つの場面を提示し、各場面で「気になる点」「止められた可能性」を班ごとに考えました。

解説では、最初の「不適切な行為」であった個人LINEの交換(場面1・4月)が最も止めやすかったという声が多く、「明らかな加害」を待つのではなくグレーゾーンの段階で組織として動くことの重要性を確認しました。場面4(冬)では、友人Cさんが違和感を覚えて養護教諭に相談したことで発覚に至るという流れを通じ、「第三者が気づいて動くこと」が被害の連鎖を断ち切る鍵になることも伝えました。

第4章|発生時の対応とまとめ(約10分)

第4章スライド:発生時の対応とまとめ

こどもが自ら被害を申し出ることは非常に難しいため、早期発見・適切な対応が教職員の重要な役割です。打ち明けられたときの初動対応(「話してくれてありがとう」と伝え速やかに管理職へ報告)、保護者への連絡・説明、報告後の流れについて、具体的な手順を共有しました。

おわりに

SISTERSは、こども性暴力防止法の施行を前に、学校・教育委員会・企業向けの研修プログラムを提供しています。「法律への対応」にとどまらず、こどもが安心して学べる環境をつくるための実践的な研修を届けてまいります。ご依頼・ご相談はお気軽にお問い合わせください。

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SISTERS運営
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